立ちはだかる壁
1台目を完成、残りの5台を一気呵成に仕上げるはずでしたが、世の中そうは甘くないのでした。
この年の8月に有明のビックサイトで第2回国際鉄道模型ショー(JAM) が開かれ、市川蒸気鉄道クラブは屋外運転と屋内展示を行なうことになりました。その屋内展示にボイラーも出そうということになり、ちょうど製作途中のものもあったのでそれらをステップモデルとしてきれいに見せるキリンス仕上げをしたり、展示台の作製、屋外運転のための給水タンク、石炭台、その他を作る作業に追われ、ボイラー作業はほとんど出来ませんでした。
JAMも終わり秋になってそろそろボイラーをという時に、主要メンバーの一人が入院し、3ヶ月ほど作業を休止しました。
JAMの仮設線路は他からの借り物でしたが使い勝手が悪かったり、思うように改造できないなどの反省から、次回のJAMは自前の仮設線路を造ることに決定しました。設計、治具作り、製作を7ヶ月で行なわなければならないため、月に1回の作業ではとうてい仕上がらないのでボイラー作業日も仮設線路作りに当てることにし、ボイラー作業はほとんど無くなりました。
さらにまずいことに、第2レイアウトで、保育園工事のため撤去していた部分の路盤と線路を再建設することになり、集中的に作業を行ないました。
その様なわけで合計約1年半に亘りほとんどボイラー作業が出来ない状態が続きました。
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ラストスパート
残りの5台にやっと本格的に取りかかれるようになりました。
1台目の完成からだいぶ時間が経過しましたが、手順は覚えていますから順次こなしてゆくだけです。
途中までは1台目と同時に作業が進んでいましたので残りは、煙室管板、外火室後板、ステイ、底枠のロー付けです。
長い間放置していたので、すべての部品を酸洗いし再調整しました。5台同時に進めるので、組み付け、ロー付け、冷却、酸洗い、水洗と流れ作業で行い、待ち時間を少なくしました。これも大勢でやる場合の利点ですが、一人きりでやるとテンションを高くしていないと途中で投げ出したくなる感じが想像できます。
ボイラーの水圧テストはなかなか簡単にはいかないものです。
手順としては、シールテープやシーラー、シールパッキンを使って開口部をプラグや盲蓋で塞ぎ、水圧テスト機をつけて、水圧テストを行い、漏れが見つかればプラグや盲蓋を取り外し、その部分をロー付けし、さましてから酸洗い、水洗、というサイクルで回すと、1日で2本完了する時もあれば、1日かけて1本もできない場合があります。
それでも何とか6本とも完成しました。足かけ3年の作業でした。前項で述べたように1年以上のブランクがあったのですが、よく仕上がったものだと思います。
これはひとえにメンバーのチームワークが良かったため、焦らず、あきらめずの波長が合ったようです。ボイラー作業だけでなく、他にもいろいろやりましたが、特記すべきことは昼食は大体自炊だったことです。かまどを作って薪でご飯を炊いたり、サンマを焼いたり、うどんを茹でたりと料理が得意なメンバーの指導でアウトドアクッキングを楽しみました。
もっとも私は箸を持って立っているだけでしたが。
最後にあみだくじで所有ボイラーを決めました。