ロー付け(内火室、喉板、外火室)
ロー付け作業で大事なのは、ロー付けする接合部分の隙間と清浄さです。
隙間は0.1mm以下が望ましいとされていますが、実際に測定することは出来ないので、ネジで仮止めしたり、木ハンマーや銅ハンマーで調整して大きな隙間がないようにします。
仮組み後にネジをはずしてばらし、接合部分の油や酸化物を取除くためサンドペーパー、ワイヤーブラシで磨いて、フラックスを付けたあと再仮組みします。
フラックスは湯煎をして液状の状態にしてから筆で塗布しました。
作業が進んでくると重くなってきて、加熱が難しくなります。予熱が重要になってきて、炎をゆっくりと動かしながら接合部位付近の温度が同じようになる感じで加熱します。酸素アセチレンバーナーで接合部位を加熱して銀ローの溶け具合を見て予熱バーナーを止め加熱しすぎにならないようにします。
接合面は地面と水平状態になるようにしないと、溶けた銀ローが低い方へ流れ、うまく付かない恐れがでます。接合部位が多面にわたる場合は、十分に気をつけて新たな接合部位が水平になるように速やかに動かせば、予熱は不要で即ロー付けができます。
ロー付けが終了したら徐冷して手で触れるようになってから希硫酸液に漬けて酸洗いします。あまり熱いうちに酸洗いすると液が沸騰して飛び散り大変危険な目に遭うことがあります。
通常、酸洗い液は濃硫酸を購入して10%の希硫酸を作りそれを利用します。
濃硫酸は98%のものが薬局で売っていますが、劇物なので印鑑が必要です。
薄めるときは必ず水に硫酸を入れて下さい。逆にすると水が沸騰して大変危険です。
衣服に付くとボロボロになるので取り扱いには十分注意して下さい。
酸洗い液を入れる容器はボイラーが入る大きさがあれば十分ですが、我々は中くらいのポリバケツを使用しました。衣装ケースや枠を作ってビニールで漏れないようにしている人もいるようです。何度も繰り返し酸洗いし、期間も長期にわたるので1日の作業が終了したら灯油ポンプを使いポリタンクに液を移して保管しました。酸洗いを繰り返すと銅が稀硫酸に溶けて青くなりますが、効果は変わりません。
5分ぐらい液に漬けた後、水洗して酸と表面の汚れを取り除きます。熱湯につけると水洗では取り除けない酸やフラックスも溶け、乾燥もあっという間でした。